皆さんは社会化と言う言葉をご存知でしょうか?
イヌと暮らしている方は、比較的馴染みの言葉かもしれませんが、ハムスターやシマリスのように家の中だけで飼育するようなペットと暮らしていると、あまり聞かない言葉なのかもしれません。
ですが、仮に家の中だけで生活しているとしても、ヒトと共生していく上で社会化はとても大切です。
先ずは、社会化について説明しますね。
社会化と言う言葉自体は社会学の用語のようで、生得的な物ではなく後天的な学習によって、社会の一員として暮らすためのルールや、適応していくための規範を身につけていく過程のようなものです。
例えば、室内飼育の動物が、屋外で風に触れること。
これも社会化の一つです。簡単で単純な事のように思われがちですが、複雑なものや段階学習が必要なもの、忘れないようにキープし続けないとならないものなど、多岐に渡ります。
私たちヒトでも、テレビでしか聞いた事がなかったSLの音を実際に聞くと、その音の大きさや伴う振動に圧倒されることでしょう。真横をSLが通過したりすれば、時に恐怖さえ感じるヒトがいるかもしれません。
何も知らされず、突然この体験をした幼児は、SL=怖いと言う紐付けができ、場合によってはSLだけでなく全ての電車に対しても先入観ができてしまうかもしれません。
また、この時の恐怖の大きさによってはトラウマとしていつまでも残ってしまう場合さえあります。
こと動物になると、私たちヒトよりも聴覚もカンも勝れている場合が多いので、ヒトよりもより大きな恐怖となり心に残ってしまう可能性があります。
一度心に焼きついた恐怖は、それを連想する場面場面で、その恐怖から遠ざかろうとする行動が見られるのが一般的です。
焼きついた恐怖が大きければ大きいほど、出現する特徴も顕著です。
怯える、逃げる、震える、ウロウロするなどに始まり、ヨダレをたらしたり、失禁したり、気絶したりするケースさえあります。
そんな恐怖体験をさせず、SLを認識させ、怖がる必要がないことを事前に動物に教えておくこと、その過程こそが社会化であり、目的かつ課題にもなり得ます。
完全室内飼育の動物であるとしても、雨音や風できしむ家の振動、窓越しに聞こえるささやく声や怒鳴り声、トラックの轟音や警笛、雷の光や地響きなど、室内の生活音以外にもたくさんの音や振動、光などが存在します。外では当たり前に経験するであろう反射した太陽光さえも未経験なことが大半です。その一つ一つに社会化の必要性があるのです。
それら全てを事前に経験・学習しておかなければ、不安や恐怖から過度の興奮や緊張が生まれやすくなります。そしてそれがストレスにもつながります。
全国各地に避難勧告が頻発するようになった昨今、決して他人事ではありません。ましてヒトではない家族が居れば尚更です。
万が一に備えて、どんなペットにも社会化をさせておく事が必要な時代になってきたのかもしれませんね。普段の生活とは異なる振動や、家族以外のヒトの声にも慣らしておくこと。それが、避難を余儀なくされた時、ペットにかかる不安やストレスを軽減できる大切な術である事を、強く認識して頂きますよう、よろしくお願い致します。
0コメント