1992年に立ち上げたドッグシッターは、預かり拠点を持たない現在のシッター業とは少し異なり、イヌの状態に合わせて【預からせて頂き世話をする【ホテル】と【出向いて時間単位で世話をする【シッター】の2つから成り立っていました。他人に自宅の鍵を預ける事に抵抗のある人が大半で、しばらくは預かりが主流でしたが、当時はまだまだたくさんいた庭先の番犬のお世話依頼が増えていきます。その背景には《ケージに入った事がない》《飼い主以外の人には友好的ではない》など、世話の代行をする私たち側からすると高い技術を要する現状がありました。
総じてイヌは、飼い主の方が不在になると通常とは違う意識が働きます。イヌに安心感を与え→世話をし→いつも通りの状態で飼い主の方に引き渡す。それを可能にしたのは、行動科学では成し得ない新たなコミュニケーション法が確立出来たからに他なりません。
1人暮らしや共働きの家庭で飼われているイヌたちには、ある共通項があります。
また、ドッグランや公園が散歩コースに含まれているイヌたちにも、共通する特徴があります。
それらの統計を取って分析してみると、多くの事が見えて来ました。説明のつかなかった答えが導き出された気がしましたが、残念ながら学問的には分野が存在せず、新たに一分野を確立するには、私は少し年を取り過ぎてしまっているのかもしれませんね。
新たなコミュニケーション法【癒育】については、後々別のタイトルでお話しさせて頂きます。
預ける場所がないだけで処分されるイヌを救いたいと始めたシッターでしたが、それが対処策でしか過ぎないことに気付いたのは、日本経済新聞の方の取材の時でした。
イヌは一瞬にして多くの事をイヌから学びます。それなのにイヌが先生となる施設も考え方も存在しません。
ないなら作ればいい!!! そうして誕生したのが2004年にスタートした【癒育園(ゆいくえん)】です。
イヌの問題行動の中には、イヌを癒やすだけで消失する行動があります。また、一方的に一律に教えても、それぞれのイヌが理解・習得するには個体差が生じます。
「何度教えてもできない」「ウチの子はバカちんだ」
思っていた結果が得られなかったり、何かに困った飼い主の方の発言です。
そんな一言で笑い飛ばしてもらえるのなら良いのですが、事が深刻化すると飼育放棄や処分に繋がってしまうケースも少なくありません。そんな時、多くの課題を飼い主の方に課すのは逆効果。飼い主の方のストレスも軽減させつつ、イヌも成長させていかなければなりません。【癒育園】はそのための施設でもありました。
そんな癒育園がオープンした当初。
連日多くのスーツ姿の方々が詰めかけ、その手にはビデオやカメラが握られていました。
スーツ姿の方々も見かけなくなり、静かな日常がやって来た頃、世の中の子犬や子猫の生体販売に少し変化が訪れている事に気付きました。個別ケースしかなかった展示スペースに遊びのスペースが設けられたり、複数頭の展示に切り替えられたり・・・。
もしかして【癒育園】が1つのキッカケをもたらしている???・・・私の気のせいなんかではなかったとしたら、こんなに嬉しい事はありません。
たった1つの事柄で世の中が動く。それを信じて、24も大きく飛躍させて行きたいです。
長々とお読み頂き、ありがとうございました。
これでワタシはナニモノは終了ですが、ふれられなかった事もありますので⑦を付属させました。興味のある方は覗いて見て下さい。
最後に
【癒育】と言う言葉は【イヌの個性を優先し、イヌを癒し育む】そんな思いを胸に抱き作った造語である事を一言付け加えさせて頂きます。
=完=
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